パッシブデザインとは、省エネルギーで心地よい住まいの設計計画であります。
そして、それらを突き詰めてみれば、「省エネ」の目的は「地球の環境を守る」ことであり、「心地よさ」の目的は「住む人の健康を守る」ことであるわけです。
世の中の物事を、うわべの形式・型式で判断することなく、本質をしっかり見極めて取捨選択してくことが大切であり、私どもはそれを心掛けています。
私たち人類は、「有限な地球上で無限の成長を求め続けて」きました。
それを続けていくことは、地球上の生命の破綻につながる道であることに、気付き始めてきた私たちですが、その道の方向転換を図るには、私たちの決断と行動が必要です。
私たちの身近な物や行いの一つ一つが「持続が可能であるかどうか?」「循環するもの(こと)であるかどうか?」しっかりとした認識を持ち、決断と行動することが大切です。
豊かな森林資源を持ちながら、日本の家はいつのまにか「外材でつくる」ようになってしまいましたが、これはとても不自然なことです。
地域の気候風土の中で育ち、丈夫で長持ちする地場の木材は、再生産が可能な循環する資源であります。 木は成長する段階で空気中の二酸化炭素を吸収し、木材として家の材料として活用されている間は、炭素を固定し続けています。
環境の時代、循環の時代、持続可能な社会の時代の到来を必要としていいる今、日本の杉や桧をうまく使っていく姿勢を、もう一度取り戻す必要があります。
パッシブデザインの基本は、機械による設備機器に頼ることなく、自然のエネルギーを活用していくことです。
現在の世の中は、化石資源である石油エネルギーに大きく依存した生活ですが、この化石資源は有限であり、いずれは枯渇する資源であります。
また材料においても、朽ちては自然に還るもの、製造と廃棄の際のエネルギー消費の少ないもの、再生産が可能なものなど、持続が可能なエネルギーと資源の活用を重視することです。