パッシブとは、「受身の、消極的」という意味があり、
パッシブに対する反意語は、アクティブで、「活動的、積極的」という意味です。
家づくりにおいて”パッシブデザイン”とは、
建築を取り巻く外的な環境である自然「太陽・風・空気・熱(暑さ、寒さ)」を
建物内に取り入れて、住宅内部の環境を良くしようとする意味合いです。
そこ(地域・敷地)にある自然をを考慮し、
それ(自然)を住まいに取り入れる建物のあり方や、つくり方ですが、
当たり前で単純なことのようですが、実は奥が深いのです。
例えば、窓におけるその機能は、
冬と夏とでは全く正反対の働きとなり、メリットがデメリットとなるものです。
だから、パッシブのしっかりした理解と、それを活かす確かな設計力が必要とされます。
石油資源は有限な資源であり、いずれは枯渇するものです。
その原油の生産量がピーク(最高点)に達することを
「ピークオイル(peak of oil production)」と言い、
このピークを過ぎると、その後の原油生産量は減少に向かいます。
一方で、世界的に原油の消費は増加傾向にあり、
また、今後掘りだされる石油は、発掘や精製にコストのかかる油田や原油と
なってくるため、石油価格の高騰は必ずやって来るとい言われます。
今の世の中、石油なしでは暮らせないものですが、
石油への依存を徐々に減らしていこうとする考え、暮らし方が必要です。
「住まいのパッシブデザイン」は、そんな暮らしにつなげる一つの方法として、
未来志向のライフスタイルにて、家のつくり方、そして暮らし方を考えた形です。
今、普通に家を建てると
建物と自然を切り離し、設備に頼る家づくりになってしまいます。
設備が故障したり、エネルギー供給がストップしたら
便利さも快適さも、全てが失われ、その無力さに打ちひしがれることでしょう。
「本当に心地よい住まい」とは、極力設備機器に頼らずに
建物の工夫により自然とつなげ、心地よさを導く家づくりです。
その地域、その敷地の風や太陽を知り、
心地よさをつくりだすのが「パッシブデザイン」という住まいのあり方です。
寒い冬には、南からの傾いた陽射しを取り入れると共に、
外の寒さを遮り、暖めた熱を逃がさない外皮の工夫で、
無理のない心地よい暖かさを確保する。
暑い夏には、強い陽射しを遮り、自然の風を取り入れ、
呼吸する素材感溢れる内装を使い、涼しい暮らし。
じめじめした長雨時期には、自然の風と光を取り入れ、
調湿する塗り壁や無垢の木材と一緒に、快適で癒しの住まいに。
そんな、四季を通して自然の心地よさと、
少ないエネルギーで暮らせる生活をデザインする、
自立循環型の住まいを、つくって行きたいと考えています。
“パッシブデザイン”は、「快適で省エネルギーな住まいの追求」ですが、
忘れてならないことは、「持続が可能な資源を活用」することです。
例えば省エネに寄与するとされる“太陽光発電”や“ハイブリッド製品”
それらは、大いに結構なことであり、素晴らしい技術の進歩でもありますが、
材料のこと、廃棄のこと、生産時のエネルギー消費などについても考えてみる。
住まいを建てて、
生活する時の省エネルギーやCO2の削減だけにとらわれることなく、
資源の持続可能性や、生産時・廃棄時のエネルギー削減も目指す必要がある。
新しい機能のもの、オシャレなデザインなものも良いでしょうが、
“リサイクル・リユース・リデュース”“伝統・文化・持続可能”と、
これらのことを基本に“住まいのパッシブデザイン”を進めたいと考えています。
1.自然風の利用
夏期夜間や中間期に外気を取り入れ、室内を涼しく保ちます。
2.昼光利用
昼間の明るさを住宅室内に取り入れ、人工照明の利用を減らします。
3.日射熱の利用
冬期に開口部から日射熱を取得し、蓄熱して夜間に利用します。